AACR2016 Part 5 ROAD ALONE
前回のあらすじ
貨車の落車により、第一エイド前にして早くもバラバラになってしまった一行。先行して第一エイドに到着したとり&うしの鳥獣コンビは、このままKindleを待ち、3人で再スタートをかける……筈だった。
とり
「うしよ、後は頼んだ…」
うし
「え?」
とり
「俺は、先に進む!」
とりの下した決断は、吉と出るのか凶と出るのか。
あづみのに散った貨車の無念を背負い、とりの一人旅が始まる!
あづみの公園穂高エイド~あづみの公園大町エイド(17.5km)
目指すは第二エイド「あづみの公園大町エイド」、第一エイドからの距離はおよそ17.5km、木漏れ日が心地の良い林間の道を走ります。
一人旅、とはいっても、他の参加者たちが大勢走っているので、利用しない手はありません。平坦区間では適当な集団にまぎれ、登り坂はちぎられつつも足を使わず、下りで一気に追いかけて集団に復帰する、そんな感じでコースを進みます。
時刻は午前7時を過ぎ、そろそろ6時スタートの1組のトップ集団が追いつき、そして追い抜いていきますが、私の目的はあくまで時間内完走、急がず慌てず、マイペースにペダルを回します。私の魂の師である某ラーメン屋のおかみさんも「ロードバイクは自制のスポーツ」と言ってますしね。
※【ラーメン屋のおかみさん】
漫画「のりりん」に登場する自転車の伝道師。
「男は三十過ぎたら自転車」
日はすっかり昇り、明るい陽射しに照らされた景色の美しさに、つい足を止める回数が増えてしまいます。
で。
あづみの公園大町エイド AM7:30
スタートから43.1km、全行程のおよそ1/4。
山のふもとにエイドの看板があり、「やった、エイドだ」と思わせてから延々と坂を登らせて心を折るという、高度な罠が仕掛けられています。
とり
「おのれ孔明……」
悪態をつく相手もいない。ソロの悲しさが更に心を削ります。
さて、このエイドは、AACRの全エイドの中でも、屈指の人気エイドです。
その理由こそが……。
ネギ味噌おにぎり!
「これを食べるためにAAACRに参加している」という人が、わりと普通にいるほど有名な、AACRの名物エイドです。
とはいえ、所詮はオニギリにネギ味噌を塗っただけの簡単な代物。環境効果によって作られた伝説である可能性も否めません。
とり
「見せてもらおうか、AACRのエイドの実力とやらを!(はむ)
こ……これは……!!」
「う・ま・い・ぞー!!」
※画像はイメージです
エイドは走る為のエネルギーを補給するもの、そう思っていた時代が私にもありました……。しかし、このオニギリならば「エイドの為に走る」と言う人たちの気持ちが良くわかります。
味噌オニギリの影に隠れてあまり話題になりませんが、横で提供されていた黒豆ようかんも美味でした。
さて、美味しいエイドで心も身体もリフレッシュしたところで、Skypeで後続の様子を確認。
Kindle(AM 7:02)
『取り敢えず第一エイドまで落車仲間を引いて無事到着』
※【落車仲間】
どうやら落車した貨車を積み込み中、同じ場所でもう一台落車が発生した模様。そのコーナー、何か憑いていたんでしょうか。
私が第二エイドに到着する、およそ30分前のメッセージです。速度を上げて追走しているであろうことを考えると、 少し待てば合流できるかもしれません。
距離を稼ぐことは大事ですが、せっかくのイベントですから、できることなら仲間と走りたいという気持ちもあります。
とり
(ソロで逃げるより、合流して牛に曳かせたほうが楽だしな……)
で。
- AM 8:00 -
とり
「こねぇ!」
こういう事態に備えて、あらかじめスマホに、ツーリング用の場所表示アプリでも入れておけば良かったのですが、バラバラになることはあまり想定していなかったため、相手の位置はさっぱりわかりません。Skypeで様子を尋ねても、走行中なのか返事はありません。
また何か起きたのか、思ったよりも速度が上がっていないのか、判断はつきませんが、待つのにも飽きてしまいました。
とり(AM 8:01)
『木崎湖まで先行する』
Skypeにメッセージを残し、引き続き一人で第三エイドへ向かうことにします。
Kindle(AM 8:04)
『第二エイド到着なう』
あづみの公園大町エイド~大町木崎湖エイド(16.5km)
わずか3分差で後続が第二エイドに到着していたことなど露知らず、とりは一人、第三エイド「大町木崎湖エイド」へ向かいます。
アルプスの山並みがだいぶ近くなってきました。
逆瀬川では、たくさんの参加者が記念写真を撮っていました。
聞いた話では、以前は写真撮影渋滞を防ぐため、この付近が停車禁止区間になっていたそうですが、今回はそんな事は無く、ちゃんと交通整理のために係員がスタンバイしています。
ちなみに、ここに限らず、コース全体でも、絶景ポイントや交差点に係員が配置されており、安全に対する運営側の意識の高さを感じます。数あるロングライドイベントのなかでも高い人気を誇る理由は、このあたりにもありそうですね。
逆瀬川を抜けると、長い登り坂が続きます。
木漏れ日がさす森の中の道は気持ち良いですが、時刻は午前8時半を過ぎ、そろそろ気温が上がってきました。ガーミンさんの温度計は27度を表示しています。
そして、登った後には当然下り。
とり
「ひゃっはー! 下り気持ち良いー!」
つい先ほど、仲間が下りで落車していることなどすっかり忘れ、かっとぶとり。
登りで追い抜いていった人たちを追い抜き、そのまま一気に木崎湖へ。
大町木崎湖エイド AM9:00
スタートから59.6km地点。全行程の1/3を越えました。
後発スタート組が追いついて来ているので、エイドは結構な賑わいをみせています。
ちなみにここは、昨日小熊山へ登るために車を止めた駐車場のすぐ隣です。
噂によると、頭おかしい 元気な参加者は、AACR中にここから小熊山へ登るらしいです。本当に 頭おかしい 元気ですね。
ここでは、漬物バイキングというちょっと変わったエイドが提供されており、20~30種類はある漬物が食べ放題です。
しょっぱいのやすっぱいの、塩漬け粕漬け麹漬け、いろいろあって実に楽しいのですが、出来れば白いご飯と一緒に食べたいところですね。
そしてもう一品、大町名物「おざんざ」。
一見細いうどんか太い素麺のようですが、歯ごたえはもちもちしており、のど越しが良いので、ぺろりと食べれます。
さて、補給を終え、後続の様子をSkypeで確認しようとしたときのことです。
『待たせたな』
とり
「お、お前たちは……!」
とり
「Kindle!うし!無事だったのかー!」
次回予告
ついに合流をはたした一行。これでもう何も怖くない!
だが、第四エイドまでの距離は往路最長の27.9km。長い道のり、そして本気を出した灼熱の太陽が彼らを苦しめる。
次回、週刊とりらいど「もう何も怖くない」
お楽しみに!
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